ジオパークフロア/館内1F
今はもう引退しましたが、険しい山の地形が生んだ鉄橋、「余部鉄橋」。実物の鋼材が
展示してあります。天高くそびえる千年杉、「小代杉」と揃ってお出迎え。
兵庫県北部の沿岸には、山と谷が海に近接し、複雑なリアス式海岸が続いています。
竹野駅(豊岡市)から居組駅(新温泉町)の間は平地が少なく、谷には橋を架け山にはトンネルを掘る必要がありました。
当時は長いトンネルを掘る技術が発達していなかったため、山頂に近い標高にトンネルを掘らざるを得ず、その分、山あいの谷をつなぐ高い橋が必要となります。中でも特に余部地区は谷の幅も広いため、より高く長い橋が必要でした。
明治42(1909)年12月に着工。アメリカ合衆国から輸入した鋼材を使用し、機械力の乏しい当時の工法の中でも、最高の技術を駆使して造られました。明治45(1912)年1月に余部鉄橋(全長310m、高さ41m)が完成。香住~久谷(新温泉町)間が開業し、山陰本線全体が開通となりました。
JR山陰本線の鎧駅と餘部駅との間に、東洋一の規模を誇るトレッスル式高架橋として、レンガ色の足の橋は山陰本線の名物となりました。
列車がトンネルから出るとすぐに広がる雄大な大海原の絶景。そのコントラストは列車に乗っても鉄橋の下から眺めても、他にない美しさで多くの人を魅了しています。
しかし、この独特の地形により発生する強風のため、列車の遅延・運休が相次ぐことになりました。そのため、約100年の時を経て平成22(2010)年には防風壁を備えたコンクリート橋に架け替えられ、 より安全な運行ができるようになりました。
人々の愛着も深く、鉄道ファンの思いも強い鉄橋。3本の鉄橋橋脚を現地保存して造られた展望施設“余部鉄橋「空の駅」”として、コンクリート橋のすぐ隣に立っています。ここからは、ジオパークが育んだ雄大な景色を望むことができます。
インフォメーションコーナーにあるついたては、香美町小代区にある小代神社の拝殿脇から伐採された小代スギの根株で、樹齢約450年と推定されています。
小代神社は、「延喜式」神名帳(927年)に記載されている 古く由緒正しい神社で、境内には小代スギと呼ばれる数十本のスギがあり、それら巨木には「燈明杉」「夫婦杉」「和合の木」など、数々の言い伝えにまつわる呼び名があります。
小代スギは兵庫県下におけるスギの代表品種とされ、心材(樹幹の中心部)の色が淡赤〜淡紅色であることから木材としての価値も高く、また、雪や寒さにも強いという 造林用品種として優れた特性をもっているため、国の特別母樹林に指定されています。
燈明杉の伝説
江戸時代のはじめ、大坂の上田新右衛門が夢に現れた 老翁のお告げどおり、ともしびが輝くスギの下に祠を建ててまつったといわれています。
後に、このスギの木は「燈明杉」と呼ばれ、樹齢千年といわれる今も小代神社の社殿裏で高々とそびえています。
燈明杉
小代神社(小代区秋岡)
稲荷神社(小代神社社殿の裏)